脳卒中について

 夏場は汗をかきやすく、脱水状態になりやすいため、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まります。脱水によって血液が固まりやすくなり、血管が詰まりやすくなるからです。サウナや運動による発汗で脱水状態になり、若い人にも脳梗塞が起こることがあります。スポーツや外出など汗を多くかきそうなときは、こまめな水分補給を心がけましょう。
 脳卒中(脳梗塞・くも膜下出血・脳出血)は死亡率が高いだけでなく、体の麻痺、言語障害、記憶障害などの重い後遺症が残りやすい病気です。次のような症状が一つでも出たら、脳卒中を疑い、ただちに医療機関を受診してください。

1. 顔や手足の片側に突然のしびれや脱力が出る
2. 視力が急に低下する、片目が見えなくなる
3. 言葉が出ない、会話が理解できない
4. 突然の激しい頭痛
5. 急なめまい、ふらつき、転倒(他の症状を伴うことが多い)

 脳卒中は「発症した時間」が治療法の選択に直結します。症状が出た時刻をできるだけ正確に記録してください。また、症状が悪化すると自分で状況を説明できなくなることがあるため、受診の際は必ず家族や同僚が付き添うようにしましょう。
 脳卒中を起こしやすくする危険因子には、高血圧、糖尿病、脂質異常症、不整脈、心臓弁膜症などがあります。また、過去に脳卒中を起こした方や、家族に若くして脳卒中になった人がいる場合は注意が必要です。健康診断で高血圧や高血糖、脂質異常が見つかったら、必ず治療を受けて管理しましょう。
 予防や早期発見には「脳ドック」も有効です。脳ドックは頭部MRIなどで脳血管の異常を調べ、脳卒中の原因となる動脈の奇形や動脈瘤などを見つけることができます。健康保険は使えませんが、日本脳ドック学会は45歳以上の方や、家族に脳卒中の既往がある方、高血圧・糖尿病・脂質異常・肥満・喫煙習慣のある方に受診を勧めています。
 一方で、頭痛などの症状がある場合は、健康保険の対象となる診療が受けられますので、かかりつけ医や脳神経外科、脳神経内科にご相談ください。

参考資料
日本脳ドック学会 「脳ドックとは」
https://jbds.jp/brain-dock/index.html#p_a

2025年08月27日