結核・呼吸器感染症について
厚生労働省では、毎年9月24日から30日を「結核・呼吸器感染症予防週間」と定め、結核や呼吸器感染症に関する正しい知識の普及と啓発に取り組んでいます。
呼吸器感染症とは、鼻・喉・気管・気管支・肺などの呼吸器に病原体(ウイルスや細菌など)が感染して起こる病気の総称です。風邪のように軽い症状から、肺炎や結核のように重症化するものまで幅広く含まれます。
日本は先進国の中で最も結核の罹患率が高く、長らく中程度の流行が続いていました。しかし、2021年には人口10万人あたりの患者数(罹患率)が9.2人となり、初めて10人を下回ったことで「結核低蔓延国」に分類されました。それでもなお、2021年の時点で職場・学校・医療機関・高齢者施設などでは集団感染が発生しており、年間で11,519人が新たに発病し、1,845人が亡くなっています。世界では1080万人が新たに発病し、125万人がなくなっており、結核は過去の病気ではなく、現在も重大な感染症のひとつです。
結核菌に感染しても、90〜95%の人は一生発病することなく経過します。しかし残りの5〜10%では菌が増殖し、「活動性結核」を発症します。感染直後は咳や痰もなく周囲にうつすことはほとんどありませんが、感染から半年〜2年ほど経って活動性結核になると咳が出始め、周囲への感染が続くようになります。診断が遅れると、数年間にわたり感染を広げてしまうこともあります。
結核を早期に発見するためには、年1回の定期健康診断(胸部レントゲン検査)が大切です。胸部レントゲンで異常が見つかった場合は、必ず呼吸器内科で精密検査を受けてください。結核に特有の症状はありませんが、咳・痰・全身倦怠感・発熱・体重減少などの全身症状が現れることがあります。咳や微熱などの症状が2週間以上続く場合は、必ず呼吸器内科を受診するようにしましょう。
参考資料
公益財団法人結核予防会「結核について」
https://www.jatahq.org/about_tb/