アルコールについて

健康的なお酒との付き合い方
お酒は飲み方や量を誤ると、健康や生活に大きな影響を及ぼします。ここでは、厚生労働省の最新ガイドライン(2024年策定)をもとに、健康を守るための知識と付き合い方をご紹介します。

1. 飲酒量と健康リスク
最新のガイドラインでは、**「飲酒量が少ないほど健康リスクは低い」**とされています。がん予防の観点からは、飲酒に安全な量はなく、最も望ましいのは飲まないことです。飲まない人や体質的に飲めない人などは、無理に飲まないようにしましょう。

【生活習慣病のリスクを高める飲酒量】 生活習慣病のリスクをとくに高める目安として、以下の摂取量が示されています。該当する方は飲酒量を少なくしましょう。
o 男性:1日当たり 純アルコール 40g以上
o 女性:1日当たり 純アルコール 20g以上 ※女性は男性に比べて体内の水分量が少なく、アルコールの分解能力も低いため、男性の半分の量でも健康被害のリスクが高まります。
💡 純アルコール量 20gの目安
• ビール中びん(500ml)1本
• 日本酒 1合(180ml)
• チューハイ(7%) 350ml缶 1本
• ワイン グラス2杯弱(200ml)

【知っておきたい全身への影響】アルコールの害は肝臓だけではありません。アルコールとその代謝物は、血管を通じて全身を巡り、細胞を傷つけます。
循環器: 高血圧、脳卒中
消化器: 膵炎、胃潰瘍
がん: 食道がん、大腸がん、乳がん
脳: 認知症、うつ病

2. 体質によるリスク(顔が赤くなる方へ)
飲酒後に顔が赤くなる方や、動悸がする方は、アルコールの分解酵素の働きが弱い体質です。この体質の方が無理をして飲酒を続けると、食道がんなどの発症リスクが著しく高まることが分かっています。無理な飲酒や、鍛えれば飲めるようになるという考え方は非常に危険です。

3. 特に注意が必要な方
以下の方々は、少量の飲酒でもリスクが高いため、特に注意が必要です。
• 女性: 生活習慣病に加え、乳がんのリスク上昇も報告されています。
• 高齢者: 加齢によりアルコール分解能力が低下します。酔いが回りやすく、転倒事故や認知機能への影響が懸念されます。
• 妊娠中・授乳中: 赤ちゃんに障害を引き起こす可能性があります。禁酒が原則です。
• 未成年: 脳の発達に悪影響を及ぼすため、飲酒は法律で禁止されています。

4. 健康的な飲み方のポイント
健康リスクを最小限にするために、以下の習慣を心がけましょう。
• あらかじめ量を決める: 飲み始める前に摂取量の上限を決めましょう。
• 週に数日の休肝日: 毎日飲むことは避け、肝臓を休ませる日を作りましょう。
• 食事と一緒に: 空腹時の飲酒は避け、食事と共にゆっくり楽しみましょう。
• チェイサー(水)を活用: お酒と同量以上の水を飲むことで、血中アルコール濃度の上昇を緩やかにし、脱水を防ぎます。
• 一気飲みは厳禁: 短時間の多量摂取は急性アルコール中毒を引き起こし、命に関わります。強要も絶対にやめましょう。
• 寝酒はしない: アルコールは睡眠の質を低下させます。

【急性アルコール中毒に注意】 短時間の多量飲酒(一気飲み)は、脳を麻痺させ、呼吸停止を招く命に関わる行為です。「つねっても起きない」「呼吸がおかしい」場合は、迷わず救急車を呼んでください。絶対に一人にしてはいけません。

まとめ
「適量」という概念は見直され、現在は「できるだけ飲まない、または量を減らす」ことが健康への近道とされています。 ご自身の性別や体質、年齢を考慮し、無理のない範囲でコントロールしましょう。飲酒習慣に不安がある場合は、専門の医療機関や相談窓口へご相談ください。

参考資料
厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドラインについて」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38541.html

厚生労働省「アルコール健康障害対策」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000176279.html

厚生労働省「健康日本21(第3次)」飲酒に関する指針
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kenkounippon21.html

2025年11月12日