がん検診について

がん検診について
 がん検診は、定期健康診断(法定項目)に追加して実施される検査で、大腸がん検診(便潜血検査)、胃がん検診(胃部X線検査・胃内視鏡検査)、肺がん検診(胸部X線検査)、乳がん検診、子宮頸がん検診などがあります。

がん検診のメリット
 がん検診は、自覚症状がない段階で行われるため、がんが進行する前に早期発見できます。また、子宮頸部異型上皮や大腸ポリープなど、がんになる前の病変(前がん病変)を見つけて治療することで、がんの発症を防ぐことも可能です。

がん検診の限界とデメリット
 一方で、がん検診には限界があり、次のようなデメリットがあります。

• 偽陽性
検診で「要精密検査」と判定されても、精密検査でがんが見つからない場合を指します。例えば、令和4年度の胃がん検診では、受診者約141万人のうち要精密検査率は5.34%(約75,768人)、そのうちがん発見率は1.85%(約1,405人)です。
• 偽陰性
がんを見逃してしまうことです。がんの位置や形、大きさによっては発見できない場合があり、検査精度は100%ではありません。そのため、定期的な検診が重要です。
• 過剰診断
命に関わらないがん(成長が極めて遅いなど)を発見することです。過剰診断かどうかを正確に判断するのは難しく、不要な治療が行われる場合があります。その結果、身体的・心理的・経済的負担が生じます。(詳細は国立がん研究センター「がん情報サービス」に記載されています。)
• 偶発症
検診や精密検査に伴う合併症です。例として、胃内視鏡検査で約1万人に1人、大腸では約1,500人に1人の頻度で胃や腸に穴が開いたり出血したりすることが報告されています。稀ですが死亡例も報告されています。その他、胃部X線検査で使用するバリウムによる誤嚥や腸閉塞、放射線被ばくなどがあります。

がんと年齢の関係
 国内では、がんによる年間死亡者数は37万人を超え、死亡原因の第1位です。働く世代(20~60歳代前半)のがん死亡者数は全体の約1割ですが、40歳を過ぎると年齢とともに増加します。検診で異常を指摘された場合は、早期発見・早期治療の機会を逃さないよう、必ず医療機関を受診してください。

検診結果と自己管理
 健康診断やがん検診で異常がなかった場合、「今回の検査で異常は見つからなかった」という意味であり、「病気が全くない」ことを保証するものではありません。食欲低下、体重減少、倦怠感などの症状が続く場合は、念のため医療機関を受診し、健康管理に努めてください。(なお、健康診断・がん検診は自覚症状のない方を対象としています。)

参考資料
国立がん研究センター がん情報サービス
https://ganjoho.jp/public/pre_scr/screening/about_scr01.html
2025年11月12日