がん検診について

 がん検診は、労働安全衛生法に基づく定期健康診断とは異なり、任意で受診する検査です。主な検査として、大腸がん(便潜血)、胃がん(X線・内視鏡)、肺がん(胸部X線)、乳がん、子宮頸がん検診などがあります。

がん検診を受けるメリット
 最大のメリットは、自覚症状がない段階での「早期発見」です。 がんが進行する前に発見・治療ができるほか、子宮頸部異型上皮や大腸ポリープといった「前がん病変(がんになる前の状態)」の段階で対処することで、がんの発症そのものを防ぐ効果も期待できます。

知っておくべき限界とデメリット
 がん検診は万能ではなく、以下のような限界やリスクも存在します。これらを正しく理解した上で受診してください。
• 偽陽性(疑いありだが、がんではない) 「要精密検査」と判定されても、詳しく調べるとがんが見つからないケースです。例:令和4年度の胃がん検診では、要精密検査となった人のうち、実際にがんと診断されたのは約1.85%でした。
• 偽陰性(がんの見逃し) がんの位置、形、大きさによっては発見できないことがあり、検査精度は100%ではありません。そのため、1回で安心せず定期的に受診することが重要です。
• 過剰診断 生命に影響しない(進行が極めて遅い)がんを発見することです。本当に治療が必要かどうかの判断は難しく、結果として不要な治療や、それに伴う身体的・心理的・経済的な負担が生じる可能性があります。
• 偶発症(検査に伴うトラブル) 検査に伴う合併症です。胃内視鏡検査では1万人に1人、大腸では1,500人に1人程度の割合で出血や穿孔(穴が開くこと)が報告されており、ごく稀ですが死亡例もあります。その他、バリウムによる誤嚥や腸閉塞、X線検査による被ばくなどが挙げられます。

がんと年齢・自己管理について
 日本人の死因第1位は「がん」であり、年間37万人以上が亡くなっています。 20~60代前半の働き盛り世代での死亡割合は約1割ですが、40歳を過ぎると年齢とともにリスクは上昇します。「要精密検査」などの異常を指摘された場合は、放置せずに必ず医療機関を受診してください。

【判定結果の注意点】 「異常なし」という結果は、あくまで「今回の検査では見つからなかった」という意味であり、「病気が全くない」ことの保証ではありません。 食欲不振、体重減少、倦怠感などの自覚症状がある場合は、検診結果にかかわらず速やかに医師に相談してください。(※がん検診は本来、無症状の方を対象としたものです)

参考資料
国立がん研究センター がん情報サービス
https://ganjoho.jp/public/pre_scr/screening/about_scr01.html

2025年11月12日